これからのインバウンド業界を考える

withコロナ、ポストコロナでインバウンド業界はどうなる?

バーチャルツアー(クラウド旅行)の可能性を探る

今回は、少し趣向を変えて、バーチャルツアーの動きを追っていきたいと思う。

バーチャルツアーは、クラウド旅行、クラウドツーリズム、オンライン旅行などと言われ、現地に行かずにクラウド上で(インターネットで)旅行するというもの。

旅行は現地に行ってこそのもの、という常識を覆すこの取り組みは、新型コロナで外出できない中で、クライド旅行の動きが広がっている。

 

最近話題になったのは、ハワイの取り組み。

www.allhawaii.jp

ハワイ州観光局の公式なだけあって、コンテンツが作りこまれていて見ごたえがある。(コンテンツそのものは過去のもの)

アンケートに答えてハワイグッズがもらえたりと、プロモーションの意味合いが強い。

 

相性が良いのは、美術館や博物館などのオンラインツアー。

bijutsutecho.com

どちらかというとツァーというよりも鑑賞か。

 

OTAも趣向を凝らして客離れを防いでいる。

GetYourGuideのバーチャルツアーは各国のガイドが画像を見ながらガイドしていて面白い。こちらは途中からバーチャル美術館を使ってさらに臨場感ある演出になっている。

www.youtube.com

国によって英語のアクセントが違っているのも面白い。

 

あと、考えたな、と思ったのが、googleのストリートビューを使ったガイディング。

 

こちらは、カナダの旅行会社G Adventuresが提供している、ストリートビューを使ったガイド付きツアーの様子。

www.youtube.com

細い路地やお店の様子などが見て取れる。臨場感があるので、想像もつきやすい。これを見ていつか行きたい、と思う人も多いだろう。

 

 最近の「モノよりコト」ということで、体験もバーチャルになっている。

 

こちらは、通常は日本の「食」をテーマにしたツアーを展開しているArigato Japanのオンライン日本茶レッスン。タイムスロットが設定されていて、購入者は日時を選んでZoomを使って体験を受けられる。

arigatojapan.co.jp

バーチャルツアーと違ってリアルタイムの体験の場合は、海外にいる人が自分で準備しなければならない(この場合は緑茶の茶葉やティーポットなど)こと、時差があるという2つの障壁があるが、果たして需要はあるのだろうか。

 

海外の例だと、つい先日、4分の1の従業員を解雇するというニュースが報じられたAirbnbの体験プログラムが、豊富なラインアップで成功しているように感じる。www.airbnb.jp

先ほどと逆で、日本で彼らの体験を受けようとすると、深夜や早朝など、時間を合わせるのが難しい場合も多い。

 

そして、最後に紹介するのは、なんと、オンラインで宿泊体験までするというもの。

withnews.jp

家にいながらにしてゲストハウスに泊まっているかのような体験ができるという。
チェックインし、ホテルを画面越しに案内され、夜は「バーチャル宿泊者」同士で飲み交わす。翌朝チェックアウトまでするという体験だ。

実際に宿泊した際のワンドリンクチケットつきで一泊1,000円、満室状態が続いているらしい。
これは日本人を対象にしているものだが、ここまできたか、という感じがする。

 

 

今回まとめてみると、各観光地、旅行会社、ガイド、ホテルなど、それぞれが観光という「生身」の体験が売りの商品を、なんとかバーチャルで楽しんでもらおうという工夫が感じられた。

目先の売り上げを上げることよりも、今はほとんど無料(または低額)で売り出し、ファンを増やしておく、そしていつか来てもらいたいという気持ちが、こうした動きにつながっている。

一方、バーチャルツアーや体験を受ける側も、自粛で動きが取れない中で、少しでも旅行の片鱗を感じ取りたいという欲求が高まっているのだろう。

 

そしてこのバーチャルツアーや体験の動きは、コロナが収束しても、なかなか海外旅行に踏み出せない多くの人たちの間でしばらくは続くのではないか、とも思う。

時間があれば、ぜひ世界のバーチャルツアーや体験を受けてみたい。